「BCN ITジュニア賞 2018」表彰式で若者とNo.1企業が交流
2018年02月08日
イベント
BCNが1月26日、東京・港区のTKPガーデンシティ品川で開催したBCN AWARD 2018/BCN ITジュニア賞 2018の表彰式では、トロフィー・賞状授与のセレモニーに続き、ITジュニア賞を受賞した生徒・学生とAWARD受賞企業の懇親会が開催された。会場には、受賞対象のコンテストに出展した作品を展示・解説するブースを設け、ITジュニアがBCN AWARD受賞企業関係者からの質問に答えたり、他の受賞者の作品を見学したりなど、交流を深めた。
今回で13回目となるBCN ITジュニア賞では、16歳以下を表彰するBCN ITジュニア U-16賞を新たに創設。受賞者は、第4回U-16プログラミングコンテスト北海道大会・競技部門で優勝した北海道旭川市立愛宕中学校の成瀬有翔さん、第2回U-15プログラミングコンテスト松山大会で優勝した愛媛県伊予市立港南中学校の井上晶さん、第1回U-16プログラミングコンテスト三重大会・小学生部門で最優秀賞を受賞した三重県津市立南立誠小学校の田丸皓大さんで、表彰式では3人が同時にステージに立った。大勢が集まる懇親会の場では3人とも緊張した面持ちだったが、先輩や大人たちからの激励にしっかり応えていた。
また、昨年12月に中国・四川省で開催されたモバイルアプリケーションの企画・開発コンテスト、Galboa(ガルボア)杯で優秀な成績を収め、BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の宋欣蔓さんと厳鵬さんに、NPO法人ITジュニア育成交流協会の協賛企業から副賞が渡された。
懇親会の間には、協会協賛企業のうち、副賞を提供した企業の方がITジュニアのブースを回り、副賞を手渡しながら受賞者に期待を込めて言葉をかけた。各受賞者の出典作品とコメントを紹介しよう。
●STEP――スコアブックと連動する動画閲覧システム 制作チーム(国立鳥羽商船高等専門学校)
バレーボールなどのプレーを動画で撮影しながら、タブレットで得点やミスを記録していくと、スコアブックとダイジェスト動画ができるスポーツ分析システム。全国高等専門学校第28回プログラミングコンテスト(高専プロコン)の課題部門で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した。「運動部員からフィードバックを得ながら、実用的なシステムとして活用できるよう改良を重ねた」。
●EachTouch 制作チーム(国立香川高等専門学校詫間キャンパス)
磁気を使ってタッチパネルを実現するシステムで、大型画面でのゲームやクリエイションツールなどに活用できる。第28回高専プロコンの自由部門で文部科学大臣賞を受賞した。「約1200個のセンサで磁気を検出している。これをすべて手作業で取りつけるのに非常に苦労した」
●てんぱ組(東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパス)
パズルのピース形状をコンピュータに取り込み、プログラムによってパズルの解を求める第28回高専プロコン競技部門で文部科学大臣賞を受賞した。「実物のピースをデータ化する処理が難しいことに加え、ピースの問題を解くのも計算量が多く、難度の高い課題だった」
●宮城県工業高等学校情報研究部プログラミングコンテストチーム
コマの動きをプログラムで制御しながら得点を獲得するゲームプラットフォーム「ChaserOnline」で戦う第38回全国高校生プログラミングコンテスト(高校プロコン)で優勝した。「どのような作戦で、どのように動けばより多くの得点を獲得できるか、アルゴリズムを考えるのが一番大変だった」
●OMNISCIENCE(立教新座高等学校)
漂流する宇宙船の中でサバイバル生活をするSFゲーム「Draw Near」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(総合)の経済産業大臣賞を受賞した。「宇宙船を拡張できるシステムなどに加えてグラフィックにもこだわり、多くのテクスチャデータをつくり込んだ」
●固有スキルせんたく板(埼玉県立越谷総合技術高等学校29期生)
アナログ電子回路をコンピュータ上で設計して動作をシミュレーションする「Circuitor」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(プロダクト)の経済産業大臣賞を受賞した。「高校数学の範囲では回路の解析ができず、大学レベルの数学を習得する必要があった。独学で学んだので一番大変だった。実用的なソフトウェアにするには速度が必要で、アルゴリズムの調整にも苦労した」
●小川広水さん(東京都立小石川中等教育学校)
ソフトウエアをより簡単に開発できるようにすることを目的に設計したプログラミング言語「scopion」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(テクノロジ)「コンパイラとインタープリタの両方を開発していたが、時間がなくてインタープリタの開発を途中で断念したのが苦渋の決断だった。その後は自分のつくりたいものに集中し、楽しく開発することができた」
●大西海輝さん(四国職業能力開発大学校)
競技時間内に組立て基板を製作し、それを制御するプログラムを書く第12回若年者ものづくり競技大会の電子回路組立て部門で、金賞/厚生労働大臣賞を受賞した。「受賞で自信がついた。競技プログラムでは課題が本番までわからないので、さまざまな課題に対応できるよう、事前にどれだけ準備しておくかが大事だった」
●石田有希人さん(愛媛県立松山工業高等学校)
基板制作とプログラミングのスキルを競う第17回高校生ものづくりコンテストの電子回路組立部門で厚生労働大臣賞(優勝)を受賞した。石田さんは昨年の第12回若年者ものづくり競技大会では惜しくも銀賞。このコンテストでは電子回路組立部門唯一の高校2年生だったが、見事に優勝した。「毎日コツコツ続けることが大事だが、それが一番しんどい。がんばったことが結果につながってよかった」