プログラミングのスーパースターを発掘するACM-ICPCアジア地区大会開催

 12月17日、国際的な大学対抗プログラミング大会のアジア地区予選、ACM-ICPCアジア地区つくば大会が、茨城県つくば市の「つくばカピオ」で開催された。ACM-ICPCは1台のパソコンを使って3人チームで11問の課題を解くコンテストで、海外の7チームを含む38校/50チームが参加。5時間にわたって熱戦を繰り広げた。ダントツの力をみせつけて優勝したのは、東京大学のチーム「Cxiv-Dxiv」。参加チームのなかで唯一11問全問を解き、しかも終了まで1時13分を残すという余裕ぶりだった。2位は終盤で驚異の追い上げをみせた東京大学のチーム「Isplpl」、3位は序盤で飛ばした韓国・ソウル大学校のチーム「MolaMola」だった。

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金メダルを授与された東京大学のチーム「Cxiv-Dxiv」。11問全問を解いた

 ACM-ICPCは、ニューヨークに本部を置くコンピュータの国際学会ACM(Association for Computing Machinery)が主催する国際大学対抗プログラミングコンテスト(International Collegiate Programming Contest)。1977年から、世界大会を開催してきた。来春、42回目を迎える世界大会は北京で決勝大会が開催されることになっていて、つくば大会はアジア地区予選の位置づけだ。大学対抗形式のコンテストなので、決勝大会に参加できるのは各校から1チームだけ。今回も優秀チームを有する2~3校が北京の決勝に進むことができる。7月17日の国内予選では、過去最多となる91校/391チームがネット上でつくば大会の出場を競い、31校/43チームが勝ち残った。さらに海外チーム7校チームが参加して、つくば大会が開催された。

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3人のチームワークも重要だ。1人がPCに向かっている間、他の2人は別の課題をどう解くか作戦を練る。2位を獲得した東京大学のチーム「Isplpl」

 コンテスト会場のつくばカピオでは、アリーナの半分ほどに競技席を配置。2本の長机にPC、モニタ、キーボード、マウスが用意され、それ以外の電子機器は持込み禁止だ。チームは3人だが、使えるPCは1台だけ。1人がPCを操作している間、他の2人が作戦を練る。プログラミングの力だけでなく、誰がどんな順番でプログラムを書き、誰がどのように戦略を練るか。チーム力を最大限に発揮するためのマネジメントの力も問われる。力を合わせて同じ課題に取り組み、解き方を見つけたときに浮かぶ会心の笑顔が印象的だった。

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3位の韓国・ソウル大学校「MolaMola」。丸風船は解いた問題を表し、銀色の風船は、参加チームのなかで最初にその課題を解いたことを表す

 国際大会の予選でもあることから、コンテストは英語で進行する。出題される問題はもちろん、会場に流れるアナウンスから表彰式でのスピーチまで、すべて英語。この大会の大きな特徴の一つだ。また、一般のプログラミング・コンテストは、観戦する側は選手たちの間で何が起きているかわかりにくいが、ACM-ICPCでは、選手のPCをネットワークでつなぎ、課題の成否や進捗がリアルタイムでわかるように工夫している。選手もさることながら、観戦者も会場のモニタやウェブサイト経由でスマートフォン画面で確認できるので、奮闘ぶりが手に取るようにわかっておもしろい。さらに、課題を解くと、各チームのブースに立つポールに係員が色分けした風船をつけていく。どのチームが、どれだけの課題を解いたかがよくわかる。最初に解いたチームには課題のアルファベットをかたどった銀色の風船もつけられるので、戦況は一目瞭然だ。

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表彰式で選手たちを激励する情報科学国際交流財団の筧捷彦理事長

 大会の主催団体の一つ、情報科学国際交流財団の筧捷彦理事長は、表彰式で挨拶に立ち、関係団体や共催企業への謝辞の後、「今日をきっかけに選手同士の交流が生まれ、友情が永遠に続くことを願う。また、勝ち残って決勝大会に進むチームには、ぜひともワールドチャンピオンを勝ち取ってほしい」とエールを送った。ACM-ICPC決勝大会は、2018年4月15~20日、中国・北京で開催される。(BCN・道越一郎)

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会場で配布されたTシャツを着て、選手・スタッフなど参加者全員で記念撮影