東京23区対象のU-16プロコンが秋葉原で初開催、高いレベルの作品とプログラムが大集結

 U-16プログラミングコンテスト秋葉原大会実行委員会は12月3日、第1回U-16プログラミングコンテスト秋葉原大会を開催した。会場は千代田区の富士ソフトアキバプラザ。2011年に北海道・旭川市で始まり、全国に広がりつつあるU-16プロコン。東京23区の児童・生徒を対象に初めて開催した。8月に開いた事前講習会を経て、競技部門13名、自由研究・作品部門11名の計24名が参加した。競技部門で見事優勝したのは、錦城学園高等学校1年の飯島晴斗さん。自由研究・作品部門では、N高等学校1年、菅野正礎さんの作品「Mission hard」が最優秀賞に輝いた。

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会場の富士ソフトアキバプラザ7階・プレゼンルームには、多くの参加者と関係者が集まった

 開会式でU-16プロコン秋葉原大会の中西日知 実行委員長は「東京23区を対象とした初めてのU-16プロコン。当初、どんな子供たちが集まるのか、全く想像がつかなかった。しかし、事前講習会での理解度は高く、出来上がった作品やプログラムのクオリティーや完成度の高さに驚いた。このプロコンを通じて、自分と同世代の参加者と競い合い、ライバルをつくり、その中で高めあってほしい」と挨拶した。

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出来上がった作品やプログラムのクオリティーや完成度の高さに驚いたと話す、中西日知 実行委員長

 競技部門では、対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」を使用。碁盤の目状のフィールドで、参加者が作成したプログラム同士を戦わせる。アイテムをより多く集めたり、相手のコマの上にブロックを置くこと(Put)で勝利。同じマップで先攻・後攻を入れ替えて2回戦い、合計ポイントで勝敗を決める。使用する言語はHSP、Java、C、C++、Ruby、Pythonなど自由だ。今大会では、午前中の予選は主催者が用意したプログラム(ボット)と対戦。得点順にトーナメント表を作成し、午後はプログラム同士を戦わせた。

 午後の決勝トーナメントでは、1回目の開催と思えないほど、レベルの高い対戦が続いた。決勝では、錦城学園高等学校1年の飯島晴斗さんと、文京区立文林中学校2年の廣田潤さんの戦いになった。廣田さんは予選のボット対戦でPut勝ちを収め72点の2位通過。準々決勝、準決勝ではポイント差で辛くも勝ち上がり、決勝までコマを進めた。一方飯島さんは、予選でPut負けを喫して11位通過と苦しいスタート。準々決勝ではPut合戦で同点の再試合。ここでPut勝ち含めた2勝を収め準決勝に進出。準決勝では2勝し決勝に勝ち上がった。

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競技部門で優勝した錦城学園高等学校1年の飯島晴斗さん

 決勝戦の1戦目では、廣田さんがPut勝ちを収めたものの、2戦目で飯島さんがPut勝ち、ポイントも同点で引き分け、再試合に突入した。再試合の1戦目で同ポイント、2戦目でも同ポイントと、ここでも決着がつかなかった。実行委員会で協議の結果、2回目の再試合を実施。ここでは1戦目2戦目とも飯島さんがPut勝ちを収め優勝を決めた。飯島さんは「他の選手があまり取り入れていない斜めの処理を入れたおかげで勝てた」と話した。

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自由研究・作品部門で最優秀賞受けたN高等学校1年の菅野正礎さん

 自由研究・作品部門では、N高等学校1年、菅野正礎さんの作品「Mission hard」が最優秀賞を受けた。Mission hardは、まるでロボットアニメのような3Dシューティングゲーム。ロボットに乗り込み敵を倒す設定。菅野さんは「好きなゲームの値段が高すぎる、ゲーム機が手元にない、Unityを本格的に使ってみたい、という動機で作った」という。ゲームに登場するロボット、建造物の3Dモデリングとゲーム制作をすべて一人で行った。「将来的にはオンライン対戦やVRなどにも対応したい」と話した。審査員からは「完成度の高さに驚いた。見るだけでも楽しかった」との声があがった。なお、自由研究・作品部門の優秀賞には、開智日本橋学園1年、鈴木はなのさんの作品「グレードノート」、王子第五小学校4年、菊池優友さんの作品「算数王(math king)」が、それぞれ輝いた。

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競争がプログラミングのモチベーションにつながると話す、下村幸広 審判長

 競技部門の審判長を務めた、旭川龍谷高校のICT担当コーディネーター 下村幸広先生は閉会式で「このプログラムはゴールがなく、完成形がない。どんなマップ、どんな相手と戦うかが、事前にわからないところが面白い。プログラムを学ぶ時に、目標がないと続かない。モチベーションにつながるのは競争。今回のコンテストの参加で、皆さんのプログラミング能力は大いに向上したと思う。この大会が2回、3回、4回と続いてほしい」と話した。

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小学生でもクオリティーの高い作品制作とプレゼンができるとわかり、日本の未来は明るいと話す、以後直樹 審査委員長

 また、作品・自由研究部門の審査委員長を務めた、東京情報デザイン専門職学校情報デザイン学部の 以後直樹 准教授は、「1回目ではあったが、レベルの高い作品が多かった。小学生から高校生まで参加があり、小学生でも高いクオリティーの作品で、プレゼンテーションもうまくやって日本の未来は明るいと思った。最優秀賞を受賞した作品もとても高いクオリティーだった。今後もぜひ継続してモノづくり、プログラミングを続けてほしい」と話した。(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)

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参加者全員で記念撮影